昨今の製薬業界が直面している課題は、運用、法規制、情報に関する課題が入り混じったものです。株主の利益を守るため、製薬企業は生産性向上とコスト削減を両立する必要があります。しかしながら、研究・開発（R&D）費用を投じた化合物の大半は臨床開発フェーズを突破できません。また、厳しいFDA規制（cGxP）により、電子記録のアクセス管理の厳格化が求められています。情報面では、情報共有が必要となる複雑な官民連携に取り組む必要があります。特に創薬プロセスでは、管理するデータ量の急増や買収合併が原因で情報面の課題が悪化します。
企業が保有する情報の大部分は、主要な事業領域別に分かれた縦割り組織ごとに整理されています。たとえば、研究開発部門、製造部門、営業部門、マーケティング部門などです。これに加えて、組織全体を管理する本社部門も存在します。これらの事業領域は独立して活動することがほとんどです。そして製薬会社の場合、多様な治療領域とブランドを製品ポートフォリオに追加することで、縦割り組織が増加します。
